目的と行動



心理カウンセリングを日本語に置き換えると “心理相談” に該当します。
心理カウンセリングそのものは、とても単純に解釈すれば「対話」です。

心理カウンセリングそのものは心理療法ではありません。
ただ、心理カウンセリングをより効果的なものにするために、個々のカウンセラーが得意とする、様々な心理療法が用いられることが多くあります。
心理療法とは簡単に解釈すると、薬物等の物理的・科学的な方法ではなく、対話や運動を初めとするコミュニケーションを使ってこころに働きかけることによって、そのかたの行動や思考に変化を求めるものです。
( ※どんな心理療法があるかは、一部の療法を上記のコンテンツで紹介しています。 )

では、続いて、治療とはなんでしょう?
治療とは、社会生活を営んでいく上で障害となる状態や、心身に大きな苦痛を与える症状を改善していく行為をいいます。
現在の日本でいう治療は「薬物治療」なので、治療の定義は必然的に薬物治療のことになります。
心理カウンセラーは薬物を扱うこともなければ、診断をすることもしないので、治療は行いません。
治療は医師の役目なんですね。

心理療法にしても、薬物療法にしても、これ自体はただの技術です。
ですから、この技術を使うためには、
「 【 目的 】 何のために」 「 【 行動 】 何をするのか 」
という2つの軸が必要になります。

この軸の違いが、世の中にたくさんある心理療法の違いに繋がるのです。
それでは、いくつか例を挙げましょう。

●アロマテラピー(芳香療法)
「 【 目的 】 心身の緊張をほぐしてリラックスするために」
「 【 行動 】 良い香りのする香水を使う」

●アニマルセラピー(動物介在療法
「 【 目的 】 人間相手では緊張してしまう人が話しやすいように」
「 【 行動 】 動物を仲介して、自分の感情を感じ、話してもらう」

●アートセラピー(絵画療法
「 【 目的 】 言葉にはできない気持ちを表現してもらうために」
「 【 行動 】 絵を描いたり切り絵をする」

●プレイセラピー(箱庭療法
「 【 目的 】 言葉にはできない気持ちを表現してもらうために」
「 【 行動 】 箱庭の中に自由な世界を創ってもらう」

アートセラピーとプレイセラピーを見比べるとわかりますが、目的が同じでも、行動が違うと別な心理療法になるのですね。

上記の説明は、簡易的にするためにとても単純な解釈にしていますが、すべて心理療法です。

そして、薬物療法家(精神科医)と心理療法家(セラピスト)もまた、この軸そのものが異なっているのです。