心の傷とは



ここでは、なぜ心理カウンセリングが自然に完了するのかという事を、心の傷についての考え方を交えて説明していきましょう。
また、薬物療法と心理療法の違いについても触れていきます。

心の傷というものは目には見えませんが、傷の状態は身体とよく似ています。
そこで、身体を怪我した時のことを思い出してみましょう。

ひとことで怪我といっても、様々な種類がありますね。
切り傷、擦り傷、火傷、凍傷、捻挫、打撲、etc、、、、
ぱっと思いつくだけでも、これだけあります。

そしてこれらの怪我の原因は、それぞれで違いますよね。
切り傷なら刃物で切る、擦り傷なら壁にこする、火傷なら熱いフライパンに触わる、凍傷なら冷たい水や氷に長時間触れていた、捻挫なら急な運動をする、打撲なら固い物にぶつかる、などなど。

これら身体の傷と同じように、心の傷にもたくさんの形があって、傷ができた原因もひとりひとりでちがうのです。
ということは、心の傷に対して効果のある療法も、クライアントそれぞれに違うのです。

では、心の傷の種類と呼べるものは、いくつあるのか。

それは、人の数だけです。

洒落や冗談ではありません。
本当に、人の数だけ心の傷の形は違っているのです。
体の傷と同じように。

例えば切り傷。切り傷と言っても、小さくても深い傷、範囲は大きくても浅い傷、さらに、まっすぐな傷、曲線を描く傷、ぎざぎざに裂けた傷、等々。
他人と全く同じ傷は、身体の傷でも存在しないのです。

だから心の傷も、同じなんですよ。

ひとそれぞれ、心の傷の形は違うんです。
「 よく眠れない 」 という症状が出ているとして、その原因は人それぞれ違います。
「 急に気分が落ち込んで、気力がなくなる 」 という症状の方だって、その原因は人それぞれで違うのです。