心は回復しようとする



自然治癒力という考えかたがあります。
自然に治癒する能力、というもので、傷が自然に治る現象がそれです。

身体の傷は、栄養のある食べ物を食べることで、自然に治っていきますよね。
食べ物というのはつまり、身体が傷を治すための材料ということです。
材料を得れば、身体は自分を治せるのですね。
また、傷の治る早さは、人それぞれに違います。
これは、人それぞれ肉体の自然治癒力が違うからです。

身体とおなじように、心にもちゃんと自然治癒力があります。
心が、回復しようとするちから。

心の傷は目に見えないので分かりづらいですが、その治り方は身体と一緒です。
もしかしたら意外に思われるかもしれませんが、心と身体はお互いにつながり合っているのですから、とても自然なことなんですよ。

どんな人の心にも、良くなっていこう、回復しようとする能力が備わっています。
これは、ひとの生きる力です。
今まで生きてきた力。
これからも、生きていこうとする力。
生きている人間が持つ、命の力。

「 時間が、心の傷を癒す 」 という言葉は、この心の自然治癒力といえます。
そして、身体と同じように、心の自然治癒のはやさは、人それぞれで違います。
あっという間に回復する方もおられれば、とても多くの時間を必要とする方もおられます。

ですが、早く回復するから心が強いとか、回復に時間のかかる心は弱いだとか、そんなことは決してありません。
どうか、誤解なさらないでください。
心の回復の早さは、強弱で測れるものではないんです。

心の自然治癒力の材料になるもの。
それは、思いや気持ち、感情、気づき、無意識への自覚といったものです。

心理カウンセラーは、クライアントがご自身の心の傷を癒すために必要なものが何かを一緒に探し、見つかった時には、それを得られるように支援をします。

ひとそれぞれに異なる心の傷があって、癒そうとする心の自然治癒力がある。

心理カウンセリングは、その心の自然治癒力を助ける促進材なのです。