旅のなかま



旅人が疲れきっていて、荷物を降ろしてひと休みをしたいなら、旅の仲間はどこかゆっくりと休める場所を探します。
そして、休みたいか、まだ歩きたいかを旅人に聞くのです。

歩きたいなら、一緒に歩きます。
休みたいなら、見つけた休憩所がどこにあるかを伝えます。

その後は二人でのんびり休憩をするかもしれませんし、旅人が休んでいる間に、旅の仲間は道の先に危険が無いか偵察に出かけるかもしれません。

旅人の着ている服がボロボロなら、旅の仲間は新しい服を見つけます。
旅人が着替えたいなら服を渡すし、着替えなくてもいいというのなら、その服を大切にしまっておきます。
旅人が新しい服を必要した時、いつでも手渡せるように。

旅人の身体が傷だらけなら、傷薬を渡します。
旅人は、その傷薬を使ってもいいし、使わなくてもかまいません。

そう、必ずしも傷薬を使う必要は無いのです。

もしかしたら、その傷の痛みが旅人を支えているかもしれないのだから。
ズキズキと響く傷の痛みが、旅人の歩みを支えていることだってある。
そして、旅人が傷薬を使いたくなったら、手が届かない所に薬を塗るのを手伝います。

辺りが暗く、旅人の足下が見えないのなら、ランプを灯します。

その明かりはそんなに大きなものではないけれど、旅人自身が転ばないよう足下を確かめながら歩くのには充分な光量です。
日が登り、辺りが明るくなったらランプを消すし、暗くなったらまた灯す。

歩きたいと望む旅人が、歩きやすいように。

道が荒れているなら、別な道があるかを探します。
別な道が見つかれば、その道があることを旅人に伝えて、どうするかを相談します。

旅人は、新しい道を歩いてもいいし、今の道を歩いても構いません。
一度立ち止まって、ほかにも道があるかを探したって構わないです。

ほんとうは、旅というものは自由なのですから。

どんな道を選んでいいし、どんなふうに歩いたっていいのです。